“聴く”ということ

最近、やっと少し人の話を聴けるようになった気がする。ほんとうにやっとである。
人の話を聴くのは難しい。聞くのは簡単だけどね。たとえばÅがBの話をする。それも親子とか夫婦とかややこしい関係におけるややこしい話を聴くのは難しい、いや難しかった。まず、咄嗟に私のうちに否定的な感情が湧き起こる。若い時は、とかく良い悪いという対立的な判断に走った。理由は簡単。そうするのが手っ取り早いから。AがBに対しての憎悪とかを聞かされるのはしんどい。だからできれば無いことにしたいので無くすための方法論とかを言ってみたりする。だってそんな否定的な感情を持つのは良くないもの。

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家族ってなに?

人が生きていく意味って何だろう・・・なんていきなり重いよね。
でも70も半ばとなると、否応なく思いが至るわけよ。
いまの境遇は若い時には思いも及ばなかった。5人の子どもに恵まれたから、70代ともなれば大勢の孫たちに囲まれ、ともに老いた夫と穏やかに暮らしているという、まるで保険会社のCMのようなシーンをなんとなく想像していたのよ。

でも現実は違った。夫は50歳という若さで逝き、孫は8人もいるけれど、海外の5人をはじめとしてなかなか会えない距離にある。肉親縁が薄いのかも、となんとなく思うことがある。でもね、寂しいかと問われると考え込んでしまう。会いたいとは思うけれど寂しくはないのよ。むしろ「孫は遠くにあって思うもの」で、元気にしているかしらとか、フェイスブックなどで、わあ大きくなったなあ、とか近況を知れるしね。離れたところから幸あれと祈れる存在があること自体が幸せだと思う。一人っ子だったせいかどうか分からないけれど、濃密な家族関係は苦手。これもおかしな話で、自他ともに認める鉄板ファザコンのくせにね。どうやら別の話みたいよ。

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多情多恨

尾崎紅葉の小説のタイトルでもあるけれど、日常生活で案外多く遭遇する。つまり情に脆くていわゆるいい人ほど、ひとたびネガティブスイッチが入ると別人のように豹変し、恨みやつらみに支配されてしまう。こいうことを目の当たりにすると、なんだか痛ましく思える。きっと彼または彼女にとっては自分でもどうしようもないんだろうな。

一方で多情多感という言葉もあるじゃない?こっちは”感情が豊かで感受性の鋭いさま”と辞書にあるように、ニュアンスは少し違う。否定的な意味合いが薄まるわよね。でも、やはり当事者にとっては大変でしょうね。だって鈍感な人には分からないことも、その人には見えたり感じたりするわけだから。ほら、よく舌の肥えた人は不幸だっていうじゃない? 反対に、味覚の鈍い人は何を食べても美味しく感じるから幸せだという論法。あれに似てるのかしらね。

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子供たちの贈り物

昨年、11月に平塚のとある小学校で六年生のクラスを対象に昆布出汁のワークショップした。その際のお礼というか感想文というか、20通を超える手紙を先日いただいたのよ。ずいぶん時間が経っていたけど、細かいことまでよく覚えているだけでなく、私の意図を的確に汲んでくれていることにびっくり!

例えば

「最高級の昆布だったのですが『良い食材を買わなければいけないわけではなく、一番最初に良い昆布をあなたたちに食べてほしいから』と言ってくれたことがすごく心に残った」
「ダシを取った昆布を刻んで炊いた昆布ご飯がとても美味しいと思ったので、お母さんにお願いして作りました」
「煮干のはらわたを除く作業を通してあらためて食べものへの感謝をしなければと思いました」
「今回のワークショップをしてから食品の原材料を見るようになりました」
「ダシだけでなくほかの食べ物にも興味を持つようになりました」
「昆布は日本食なのになぜ生活に根付いていないのか不思議に思っています」
「昆布のおいしさ、大切さをどんどん教えていってください」

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如意と不如意

つまりは思い通りになることと思い通りにならないことよね。
世の中、この二つがくるくる回る。というか二つがセットなんだと思うのよ。
今年いよいよ後期高齢者の私も、もちろん両方経験してきた。年齢に見合った量をね。

で、しみじみ思うのは、私を成長させたのはだんぜん不如意のほう。小さい不如意もそうだけど、大きい不如意つまり逆境的なことも。大小にかかわらず全て隠された意味があって、それがはっきり見えたときは喜びに近い感覚があるんだわ。ストンと落ちるのよね。若いときはそれがなかなか分からなくて無駄に悩んだりしたけれど、何回か発見を経験するとある意味宝探しよ。

ほーらおいでなすったてなもん。

一方の如意は、人間の悲しい性で、恵まれたことが当然のように思ってしまう。あって当たり前みたいな。よく、病気になって健康のありがた味が分かるっていうでしょ。まさにあれ。とうぜんのことながら、私だってできれば如意だらけで生きたいわよ。だけどそうは問屋が卸さないわけ。

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